高齢者の方が、手押し車のような福祉用具を押して歩いているところを、ご覧になったことがある方は多くいらっしゃると思います。
歩行がスムーズでなくなってきた親御様に、購入して差し上げようと思ってらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、一見同じように見える手押し車にも、介護保険が利用できる「歩行器」と介護保険が利用できない「シルバーカー」があり、それぞれの特徴があり誤った使い方をすると危険もあります。
今日はこのあたりの注意点と、介護保険を利用する方法について、まとめてみたいと思います。
シルバーカーと歩行器は何が違うのか?
シルバーカーは自立で歩行できる人が使うもの

「シルバーカー」とは、自立で歩行できる人が、荷物の運搬などに用いるものとされています。
ハンドルが「バー型」になっているのが歩行器と異なる点です。
体を支える目的で作られていないため、体重をかけすぎると前輪が浮いてしまい危険な場合があります。
シルバーカーは介護保険の対象とはなっていません。
自費で購入して使用することはもちろん自由にできますが、特徴や注意点をよく理解して使うようにしましょう。
歩行に不自由がある方には、シルバーカーは適しません。
以下にご説明する「歩行器」や「歩行車」と呼ばれている用具を使用するようにしましょう。
歩行器(歩行車)は、歩行を補助するもの

「歩行器」とは、転倒のリスクや、歩行による疲れや痛みがある高齢者の歩行を助ける福祉用具とされています。
車輪のついた歩行器をとくに「歩行車」と呼ばれています。
歩行器は、介護保険で福祉用具貸与の対象となっています。
歩行車には、荷物入れがついているものもありますが、一般的にシルバーカーほどの容量はなく、外出に最低限必要なものが入る程度と考えてよいかと思います。
また、両手でつかまらなければなりませんので、手が不自由な方は使用が難しいですし、手に荷物を持ったり、傘をさしたりしながら使用することはできません。

私の母も、大腿骨骨折後に歩行車を使用して老人ホーム内を移動していましたが、その後、脳梗塞になって右手が不自由になり、歩行車が使えなくなって自力での移動ができなくなりました。
いつまでも自力で移動するためには、足だけではなく、手も大切ですね!
シルバーカーや歩行車のリスク
歩行に不安のある方が外出すると、歩道の段差、歩きスマホの人(やめましょうね!)、歩道を走る自転車など、危険がいっぱい💦
シルバーカーや歩行車を使っていても、坂道や整地されていない路面などでは、車輪がまっすぐに進まずバランスを崩してしまったり、車輪が踏切などの溝にはさまってしまう、段差で車輪を持ち上げようとして、体のバランスを崩してしまう危険もあります。

このような危険があるので、母が入居していた老人ホームでは単独での外出は禁止されていました。
リハビリ病院では、退院後に使用する歩行車で、実際に外を歩く練習もしていただけました。
レンタル開始時には、業者の方が高さ調整などもしながら、試用に付き添ってくださるかと思います。
日常生活での外出時には、同行していただける方がいらっしゃると、なお安心ですね!
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歩行が不安になると歩きやすい靴、介護が必要になると、マジックテープで前開きのシャツ、総ゴムでお腹まわりに余裕があるズボンなど、適した衣服や下着を準備しなければなりません。
これらは介護用品のお店で販売されていますが、近くにお店がない方や、買いに行くことが難しい方は、ネット購入が便利です!
介護保険を利用して歩行器を使用するには
歩行器は、介護保険で福祉用具貸与の対象となっています。
自分で購入したものは対象外となりますので、ご注意ください。
どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与 | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)
サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)
介護保険で歩行器を利用したい場合は、担当のケアマネさんか、すでにほかの福祉用具貸与を利用されている場合はその事業者へ相談されるのもよいでしょう。
介護認定がまだの方は、申請が必要ですので、地域包括支援センターへお問合せください。
お住まいの地域担当の地域包括支援センターは、下記↓の厚生労働省のサイトから探すことができます。
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/